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前回から間が空いてしまいましたが、海外に出てみて感じる日本の義務教育について今回も語っていきます!今回は学校の先生について。


息子がアメリカの公立小に通うようになり、いちばん最初に感じた大きな違いが小学校の先生の業務範囲についてです。

まず、クラス担任の先生は「子供たちの教育」以外のことに割く時間が圧倒的に少ないのだなと思いました。(もちろん、アメリカ国内においても学校・学区や州によって違いがあるかとは思いますが、大まかな考え方は一緒なのではないかと思います。)

日本の小学校の先生が請け負っているであろう業務をアメリカの小学校では主に誰が行なっているか書き出してみたいと思います。

・家庭やコミュニケーション等に問題を抱える個別の生徒の対応    →    校長・スクールカウンセラー
・出欠の管理や手続き系    →    事務スタッフ
・学校行事    →    校長・PTA
・答案の丸つけ等雑務    →    クラスの保護者ボランティア(いなければ自分で)
・何かの会費を集める等、保護者の取りまとめ    →    クラスペアレント(いなければ自分で)
・クラブ活動の顧問    →    全員加入のクラブ活動はなく、有料の放課後アクティビティ。先生が行ったり、別途コーチが指導したり(おそらく別途お給料が発生)

また、教える学年の専門性が高く、基本的に教える学年が決まっています。(1年生の担任は毎年1年生を受け持つ。異動があったとしても低学年。)小学生の場合、低学年と高学年では適切な指導の仕方が大きく異なるでしょうから、これは良いことなのではないかと思いました。実際に、息子の通っていた小学校で2年の担任をしていて評判の悪かった先生が珍しく5年生に異動して評価が変わったことがありました。また、PE(体育)はクラス担任ではなくコーチが担当します。

先生が、自分が専門とする子供たちの教育に集中できる環境が整っているからこそ、生徒1人1人の意思に向き合い、尊重する余裕が生まれるのだと思います。


息子が日本の公立小に通っていたとき、PTAの係で入学式の来賓受付を担当したことがありました。町内会?のうんちゃら、過去のPTA会長など、正直言って「誰やねん」という子供たちには直接関係ない人々のお名前が並んだ招待リストがあり、それをもとにお名前を確認して、案内する仕事でした。わたしが受付に立っていると、ある先生が走って受付にやってきて「リストに誤りがあったのでこちらに差し替えてください!」と新しいリストを渡してくれました。学校の先生はこんなこともしなくちゃいけないのか、と驚いたので記憶に残っているできごとです。

入学式・運動会・学芸会といった行事がやたらと形式ばっていて手間がかかる上に、それを先生方が主体的に運営しなければならないのは相当な負担なのではないかと思いました。

子供の立場からすれば楽しい行事ではあるのでしょうが、形式を優先するあまり生徒が置き去りにされることもあり、謎に苦行めいた部分も大きい気がします。(わたしは小学校の運動会で熱々の地面の上で裸足で踊らされたり、組体操の練習で上から落ちて辛かった記憶がありますwずいぶん昔の話ですが)無駄に形式ばらなくても、アメリカのフランクな学校行事(ハロウィンパレードやダンスナイト、ジョギング大会など)も、子供にとって楽しいばかりのいい思い出になっています。



また、保護者の関わり方がまったく違うことも大きいと感じました。

日本のPTAの場合、学校の根幹となる運営を担うというよりも、+αの活動(ベ◯マークなど)が多い気がします。息子が通っていた小学校ではPTAの部活動的なものがあり、バレーボールや合唱などをされてました。また、必ず1回は係をやらなければならないというような縛りがあるのも特徴的。PTA活動=「みんなで平等に罰ゲームをくらう機会」のように捉えている人も多いのではないでしょうか。あまり楽しいものとして語られないのが不思議です。

アメリカのPTAは行事を主催したり、寄付を集めたり、と学校運営に欠かせない中心的な役割を果たしています。また、クラスペアレントや先生を手伝うボランティアも欠かせない存在です。

そして、PTAもボランティアも「やりたい人がやる」のが基本。息子が通っていた学校のPTA会長は何年か同じ人が務めていました。皆、それが当たり前の中で育っているからか、ボランティア活動が社会に根づいているせいなのか、誰1人としてやりたがらないということはほぼないようです。仕事であまり参加できないという人もいましたが、子供の学校の用事のために仕事を休むのが普通の社会でもあるので、小学校のうちくらいは積極的に参加したいという人が多いように思います。(子供のことを考えて、先生方と仲良くなっておくことを目的とする人もいるかもしれません。)

わたしは学校の様子を知ることができるので、担任の先生のお手伝いをときどきしていました。答案の丸つけをしたり、手作りメモ帳を製本したり、先生から生徒へのクリスマスギフトの絵本をラッピングしたり、雑用をこなしました。(丸つけをしたことで算数のワークブックが個人の習熟度によって違うことを知りました。2年生でしたが、クラスで2人だけ難しいものを使ってました。)

メキシコに引っ越してからは私立のインターナショナルスクールに通うことになったのですが、そこでも1クラスにクラスペアレントが複数いて、子供たちが楽しみにしている季節の行事などを学校の内外で主催してくれていました。(学年全員100名程度を招いて様々なゲームや食事、遊び相手のインストラクターなどを用意したポサダ(メキシコのクリスマスパーティー)を開くお宅のスケールに驚いたこともw)



わたしは日本の学校しか知らなかったので「学校」「先生」「PTA」の在り方はひとつしか知りませんでした。しかし、世界には異なるスタイルの「学校」「先生」「PTA」があることを知りました。

そして感じたのは、日本は学校の先生の業務の幅がかなり広く、物理的にやらなければならないことがとても多いということ。行事やクラブ活動以外にも、日々、給食や掃除を監督したり、整列やら行進やら至極どうでもいいことにも時間を割かなければならない気がします。(整列も行進も軍隊以外でやることないです。日本の学校は何かにつけて軍隊チックだと思います。)

先生が子供の教育に集中できる環境づくりについて、もっと考えてみても良いのではないかと思います。

行事のやり方を見直す(最近は入学式・卒業式に来賓は必要か?という議論もあるそうです)。PTAを活発にできなかったとしても、アシスタントを雇い入れるなど方法はあるはずです。



次回は、わたしが感じた「日本の学校、ここが最高!」というお話について書いてみようと思います。