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アメリカへの引っ越しが決まり、日本の公立小に通っていた息子は小学校2年生の1学期で転校することになりました。

前回のブログに書いたトンデモじいちゃん先生は、保護者からの評判がすこぶる悪かったせいなのか、1年で退職されました。(定年退職されたあとの再雇用だったらしい。こういう先生、これから増えそうですよね。)

2年生の担任は、新卒2年目の若い方。やる気に満ちていて、子供にも大人気の先生でした。最終日にご挨拶したときに「外国に行ったことがないから、先生もアメリカに行ってみたいなぁ」とおっしゃっていました。今後、日本はどんどん貧しくなっていくのかもしれませんが、若い方が積極的に海外に出られるように、研修などのサポートがあるといいなと思います。

夏休みに渡米し、アメリカ公立小での学校生活がスタートしました。登校初日、担任の先生から不思議なギフトをいただきました。「子供から親へ」の体で書かれたお手紙と謎のアイテムたち。お手紙の抜粋を訳しました。
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この星を手にすると、わたしがスターであることを思い出します。

綿のボールに触れると、この教室が親切で柔らかい言葉と温かい気持ちに溢れていることを思い出します。

1ペニーを手にしたとき、わたしには価値があり、他の誰とも違って特別であることを思い出します。

この棒を手にすれば、どんな困難があっても常に最後までがんばることを思い出します(stick it out)

この輪ゴムは、学びにより心が伸びていくことを教えてくれます。

最後のアイテムはバンドエイドです。もしわたしが傷ついたとしても、ケアしてくれる先生とクラスメイトがいることを思い出すことができます。


これを読んで衝撃を受けました。

「あなたはスター」
「あなたには価値がある」
「あなたは他の誰とも違って特別」

何か賞を獲ったとか特別なことをしたからではなく、ただ存在しているだけでもらえた言葉たち。

こんな言葉を身内以外の誰かから授けられることなんてあっただろうか。人によっては身内からもないかもしれません。このことをわたしの友達にシェアすると「わたしも子供の頃、こんな風に言われたかった」という反応をたくさんもらいました。

自分自身を思い返してみても、小学校低学年といえば「周りと同じことができるように」「周りと違うことはしないように」という教えを受けた記憶しかありません。


この手紙が綺麗事でないことはすぐに実感できました。先生は、常に生徒の意思を確認してくれるのです。

転校したばかりで慣れない頃、息子は何かと"Are you comfortable?"(快適ですか?大丈夫ですか?)と先生に訊かれていました。泣いて過ごす日もあり、そんなときは同じクラスにいた日本人の子が授業中に散歩に連れ出してくれていたそうです。無理をして授業をこなすことより、子供がストレスなくクラスになじめるように配慮してくださったのだと思います。

また、授業で文章を読む人を当てるときも" ○○, do you read the next paragraph if you want to?"(次のパラグラフを読みますか?)と訊いてくれることに驚きました。生徒はNoと言うことができ、Noと言っても叱られたりはしません。

「先生が指示する・命令する、生徒はそれに従う」ということが、自分の中で当たり前になっていることに気がつきました。そして「子供の意思を確認する」ということをわたし自身もおろそかにしていたことを反省しました。


いつも先生や親が正解を示し、それに従って矯正されるのが良いことで、反抗するのは悪いことだとされる世界で育ってきたわたしは、いつの間にか「正解は自分の外にある」ものだと思い込んでいました。進学先・就職先・結婚・見た目・理想的な性格・モテる人気女子…誰かが示す「正解」に自分を合わせようとするのが当たり前だったのです。

でも大人になって、だいぶ経ってからやっと気がつきました。わたしにとっての「正解」は、わたしの中にしかないことを。

わたしの中の正解を探し当てるには、自問自答するしかありません。何が好きで、誰が好きで、何をしているときが幸せか。周りの顔色を窺うことばかりしていると、自分の本音がなんなのかわからなくなってしまいます。世界にたった1人しかいない、特別なわたしなのに。

「あなたはどう感じてるの?」
「あなたはどうしたい?」
「あなたの意見は?」

もしも、そう質問されて育ってきたなら。正解は自分の中にあること、その正解を守ることが当然だと捉えられるのではないでしょうか。すなわち自己肯定感というやつですね。


最初の1週間は泣き通しだった息子も学校生活に慣れ、楽しく通えるようになりました。転校早々に「学校は、子供を意思ある個人として扱い、違いを尊重してくれる場所」であることに衝撃を受け、その後も「わたしが知らなかった"学校"」を目の当たりにすることになります。次は学校の組織運営や役割のお話をしてみようと思います。

つづく